古典時代の楽器

古典主義音楽の時代は、ピアノにはオルガンのような足鍵盤がついているものが存在しました。当時を代表する作曲家で一流ピアニストのモーツァルトも、この足鍵盤付きピアノを使用していたようです。ザルツブルクの生家に展示されたピアノは足鍵盤の無いタイプですが、父レオポルトの手紙には、足鍵盤の付いたピアノをモーツァルトが所持していたことが記されています。
モーツァルトが作成したピアノ作品には、足鍵盤のパートは出てきません。不朽の名作「ピアノ協奏曲第20番ニ短調K466」を初演した際に、独奏と指揮の両方を担当したという事実があり、自身が所有する足鍵盤付きピアノを使用しました。指揮をする左手パートを補助するために用いられたと考えられます。モーツァルトはオルガンも名演奏をしていたため、足鍵盤を操るには難しくなかったでしょう。

また、この時期のピアノは、現在の白鍵と黒鍵部分の色が逆、幹音が黒鍵で、半音が白鍵でした。ピアノ以外の鍵盤楽器、チェンバロやオルガンの鍵盤も同じ色使いをしていました。19世紀に入り、ピアノ文化が急速に広まってくると、いつのまにか現在の色使いになります。こうして色が変化した理由は、ピアノの普及が進むにつれ、白が主体となった明るい鍵盤の方が好まれるようになったという説。白い色は膨張し、黒は締まって見えるので、張り出した半音を黒に、幹音を白にした方が視覚バランスがよくなるからなどという説があります。